食べごろのまま、この先もずっと。
創作人物に人権を。声高に叫ぶ老若男女は日に日に数を増してしまって、今では表に出ることさえできない。そういえば先輩作家の一人は廃業したという。彼はミステリ作家でたいてい人が死んだ。開始一行目から無残に死んだこともある。僕はどうしようか。カニバリズムばかりを書いてきた。今もそうだ。
僕に目を付けたのはヒロイン人権団体だった。イートミー、イートミー。彼女から彼へ。登場人物へ向けられた彼女の声は読み手の老若男女に届かない。現実と非現実を区別できない人々によって、創作人物の愛の告白はかき消された。読めばそれが愛の言葉だとわかるはずなのに、一瞥すらせず彼らは否定した。
結局世の流れには逆らうことができなくって僕も先輩の後を追った。今も彼女は一人、主人公に向けてHDDの中で叫んでいる。イートミー、イートミー。