おいしい煮つけになりたい

唐瓜直が何やら日記を書いたり、即興創作(140文字×X+α)したり、メモしたり。というブログ。

マーケットに行く、が正しいのではないか

 スーパーを出て視界に入ったのは蜘蛛だった。歩道の中央にぷらぷらただよい、これから巣作りなんです、といった具合に横糸を街路樹と壁に張っていた。道をふさぐほどの大きさになるだろう。巣を眺める僕を追い抜かす人がいた。トレーニングウェアを着た若い女性だ。蜘蛛の黒い瞳が、彼女を追って動く。 

 捕まえられればいいねと、口の中だけでつぶやいた。蜘蛛は僕が去ると巣作りを再開した。あれから三日たつが、人間が捕まったという知らせはまだ来ない。